東北ツアー記④〜帰宅編〜

前日の地獄絵図のような怒涛のライブの余韻はそこには無く、
カプセルホテルでの朝はとても穏やかなものだった。
ロビーの窓から射す光はとても優しく、素晴らしい秋晴れだ。
ついに、ついに僕はこの嵐のような三日間から解放されるのだ。
そう思うと、僕はものすごく安心した反面、ものすごく淋しくなった。
僕は毎回ツアーに出るたびに心から疲れて、
「あーーーもーーだめだ〜」って風になるんだけれども、
結局最後は「あー早く次のツアーやりてーなー」って思ってしまう。
これが音楽の、旅のマジックなんだね。
それに、今回のはちょっと特別なツアーだったな。
こんなはちゃめちゃな面子で、はちゃめちゃなライブが行われる事が
この先一体何回あるのだろう?
人によっては一回も経験しないだろう。
とても貴重な経験をした。それに尽きる。
マスターカードのCMのように
「はちゃめちゃなツアー、PRICELESS。」
って感じだよ。
本当に本当に楽しかったです。


そんなわけで僕等東京帰宅組(僕、植木君、ワタナベイビーさん、かせきさいだあさん、)
+大阪帰宅組(千葉さん、スタッフのTKさん)はセッチュ−号に乗って帰途についたのでした。
帰りの車の中は昨日のライブの事、ツアーでの思い出、今後の事などの話で和気藹々。
途中のSAでハロウィンのかぼちゃをかぶってみんなで写真をとったり、
かせきさんに真のHIPHOPについて語ってもらったりとなかなか素敵な時間を過ごしました。
そのセッチュ−号は仙台で借りたレンタカーだったので、
千葉さんとTKさんは仙台でお別れ。
仙台からは僕と植木君とベイビーさんで仙台に置いてあるベイビーさんの車に乗って
東京に帰る予定でした(かせきさんは仙台から新幹線で帰ることになってました)。


が、ここで予定通りのような予定外が・・・。
意外とのんびり帰っていたら、千葉さんとTKさんが仙台空港から乗る予定だった
飛行機の時間に間に合わなくなりそうになったのです。
なので本来ならばそのまま車は仙台のレンタカー屋に向かうはずだったのですが、
結局仙台空港まで直で行く事に・・・。
そしてその事がちょっとしたハプニングを呼ぶのでした。
仙台空港で千葉さんとTKさんを降ろし、僕が運転して仙台駅近くの
レンタカー屋に車を持っていく事になりました。
が、ここで困った事に、そのレンタカー屋までの道のりがまったくわからないのです!
千葉さんは丁寧にカーナビにその場所を登録していってくれた(はず)
なのに、カーナビの野郎はちっともナビを開始してくれません。
しかもここに揃ったのは、僕を始めとする超アナログ人間ばかり。
カーナビの操作なんて高度なことは出来ません!
かなりテンパった僕と植木君に対し、ベイビーさんとかせきさんは
後ろの席で「困ったねぇ〜」とまるで困った様子も無く
クスクス笑っている。さすが大物は違う!!
目の前で起きている一大事をまるで他人事だ!!


結局なんとかカーナビの操作の仕方がわかった僕等はなんとかレンタカー屋にたどり着き、
かせきさんとお別れし、僕と植木君とベイビーさんの三人で一路東京を
目指す事になりました。
車内ではベイビーさんのホフディラン時代の爆笑エピソードを聞いたり、
植木君の悩みを聞いたり、僕が中学生時代の暴露話をしたりと
かなりいい感じに会話が弾みました。
ベイビーさんが言った「植木君も町田君も意外としっかりしてるんだなあ〜」
という気の抜けた発言には爆笑しましたよ!


そんなこんなで帰りの車はほとんど僕が運転して帰ったのですが、
高速の降り口だった街が、僕とベイビーさんの実家がある街だということが
判明し、急遽ベイビーさんと僕の思い出巡りツアーが始まりました。
びっくりしたことに、僕の実家とベイビーさんの旧実家は超近所!!
自転車で10分もかからないほどの距離!!
これには運命を感じましたよ!
なので幼少時代遊んだ公園や広場もおんなじです!
信じられないくらいローカルな会話がそこでは繰り広げられました。
僕が「不良少年マーリー」で舞台にした丘にあった幼稚園にベイビーさんが
通っていた事を知ったときには鳥肌モノでしたね。
すごい!こんな事があるんだ!!って感じです。
僕とベイビーさんは歳が10違うから当然同じ時期にあったりした事はないんですが、
こんな小さなロックのかけらも無いような街で、
一足先にベイビーさんは音楽の舞台へ踏み出していたのかと思うと、
マジリスペクトしました!
ベイビーさん、最高!!!!!!!!!!!!!
練馬が生んだスーパースターです!!
いやーーーーー感動しましたね。


そんなわけで僕等3人は存分にノスタルジックな時間を過ごし、
無事に自宅へ戻ったわけでした。


自分の部屋に戻り、ベッドに倒れこんだ僕は、なんともいえぬ満たされた気分で
いっぱいでした。すごいドキドキした。
こういうドキドキがあるから音楽はやめられないんだ。
これからも僕が活動するにあたって、とても大きな糧になるような
出来事がこのツアーには沢山あった気がする。


これからも頑張っていこう。
そんなことをただただ思い、
無事に東北ツアーは終了したのでした。


皆さん、本当にありがとう!!



この日のBGM:ギルバート・オサリバンアローン・アゲイン