「CAPTAIN PAPA」から10年

来年はBUNGEEが世の中に浸透するきっかけとなった作品「CAPTAIN PAPA」がリリースされてから
10年が経ちます。
その10周年を記念して「CAPTAIN PAPA 10th ANNIVERSARY SPECIAL EDITION」が
発売される・・・ことは残念ながらありませんが(つーか出したところで全く売れないだろうな)、
今回はその作品について少し語ろうと思います。

このミニアルバムは当時BUMP OF CHICKENやGIANT STEPといったバンドをリリース
して勢いに乗りまくっていた下北沢のレコードショップ「ハイラインレコード」のレーベル
「HIGHLINE RECORDS」からリリースされました。
それまで契約していたEPIC SONYとの契約が切れた僕等は
それにめげる事なく精力的にライブ活動と曲作りに励み、
めきめきと実力を付け動員を増やしていきました。
その矢先にHIGHLINE RECORDSの代表北岡一哲氏の目に留り、
このミニアルバムの制作にこぎつける事が出来たのです。
プロデューサーは当時スクーデリアエレクトロをやっていた石田ショーキチ氏で
僕はショーキチさんがそれ以前にやっていたバンド、SPILAL LIFEの大ファンだったので
ショーキチさんからプロデュースの希望が来たときは夢のようでした。

バンドにも勢いがあり、さらにプロデューサーも最高の人選で、
録音される物が良くならない筈はないと僕等ははっきりと確信しました。
実はこの「CAPTAIN PAPA」にはEPIC SONY時代にリリースされる予定だった
幻の作品(確かタイトルは「BEAUTIFUL WORLD」というタイトルで全6曲入りだった気がする。因にその作品の
プロデューサーは後に椎名林檎のバックギタリストになり、さらに夫となる弥吉淳二さんでした。)
の収録曲が2曲程再録されています。それは「BEAUTIFUL WORLD」と「揺れているもの」の
2曲です。それにプラス5曲を加えてこのミニアルバムは完成しました。
レコーディングは世田谷の用賀のスタジオで行われ、約1週間で済みました。
すべてのテイクは一発録りで、それ故に荒さはありますが
バンドの勢いを上手く封じ込める事が出来たと思います。
神経質で、完璧主義だった当時の僕は周りが止めるまで延々とギターのテイクをやり直してしまう癖が
ありましたが、ショーキチさんがあまりにもすんなりと「オッケー!」を出すので
ずっこけながらも録音された物を聴いてみると、ただただそのカッコ良さに
自分でも驚いた記憶があります。
思えばそれがショーキチさんの手腕ってやつでしたね。
「完成されたサウンドもいいけど、多少荒かろうが勢いを重視したサウンドの方がロックだしリアルだよ」
当時ショーキチさんはそう言っていましたが、時が経って聴き直してみても
それはとても納得出来ます。
20歳そこらだった僕等の飾らないリアルな音がこのミニアルバムの中で
今でも生き続けているのです。
この「CAPTAIN PAPA」という作品は未だに自分にとって特別だと思える作品の一つです。
自分が今まで書いた曲の中でも10本の指に入るくらい気に入ってる曲、「テレサ
も入っているしね。


このミニアルバムが発売されたらすげー事になるんじゃないかと
当時メンバー一同ドキドキした記憶があります。
残念ながらその期待は裏切られ、思いのほか売れず(笑 因に当時はバンプの次はBUNGEEだ!みたいな
変な期待感みたいなのがあってそのよくわからない比較に苦しんだりもしました)、
次回作「MORE VEGITABLE!」では開き直って思いっきり好き勝手をやるのですが、
今思うとある意味この作品がBUNGEEにとっての一つのピークだったのかもしれません。
僕個人的には「CRUITHNE」という最後のアルバムがBUNGEEの最高傑作だと思っていますが、
「CAPTAIN PAPA」が一番お気に入りで印象に残っている方も多いんじゃないかな。

なにはともあれ時間が経って冷静に過去の自分の作品について書いてみるのも
なかなか面白いですね。
ホリ、純平はまた違った想いをこの作品に対して持っているかもしれませんが
僕にとっての「CAPTAIN PAPA」は自分にとって原点のような作品です。

持っている方は時々は引っ張りだして聴いてやって下さいね。
では。