東北ツアー記②〜盛岡編〜

盛岡に来たのは先月のセッチューが生まれて初めてで、しかもこんな短期間で
2回も来れるとは思わず、ものすごく嬉しいです。
盛岡は街も、ライブハウスも素晴らしいところで大好き。
ここ「クラブチェンジ」というライブハウスはとても小さいんだけど、
なんか温かい雰囲気があっていいんだよなあ。
なんか、まさにロックを演奏する場所って感じがします。
楽屋の大きさと、フロアの大きさが変わらないってのもいい。
ステージと客席にほぼ段差が無くて、距離もほとんど無いので
すごくステージと客席が一体になっている感じが出せる。
そういうところが雰囲気は多少違うけど、吉祥寺曼荼羅に通じるものが
あるように感じました。


そんな事を考えながら僕は楽屋で一人、自分のリハの時間を待っていました。
すると、昨日仙台でものすごいライブを見せてくれたキングブラザーズ
マーヤさんが僕の方ににゆっくりと歩みよってきたのです。
僕はびびりました。
というのも、キングブラザーズは「西宮の狂犬」と自ら名乗っているように、
そのライブも、佇まいも滅茶苦茶恐いのです(そこが最高なんですが)。
特に、その恐さという点ではマーヤさんという人はずば抜けている。
昨日もマイクを口に咥えて「うおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!」
ととんでもない雄叫びをあげ、白目を剥き、よだれを垂らし、ギターをブンブン振り回し、踊り狂い、彼以外の人には誰も見えない何者かにガンをつけ、ロックンロールを自らに宿しまくって
いたんですから。
そんな超狂犬がぼくにゆらりゆらりと歩み寄ってくるんですから、
そりゃあ僕も正気じゃありませんよ。
とにかく、目だけは絶対にあわせない事。
「お金は持っていないです」と言い張る事を僕は心に決めました。
マーヤさんの足は一歩、また一歩と僕の方に近づいてくる。
その数秒間の間に僕はどれだけ畏怖した事か。
それを周りに悟られぬよう、僕はうつむき、自分のギターを固く握り締め、息を殺し、その時を覚悟しました。
すると、そのマーヤさんが僕に発した言葉は・・・。


「そのギターっていい音しますか?」


ふつーの人だーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!
ふつーの人、きたーーーーーーーーーーー!!!!!
僕はビックリしすぎてひっくり返りそうになりましたよ!!
医者からガン宣告されたのに、実は只の呑み過ぎだった、位の衝撃!
あまりの衝撃に僕は我を見失い、ものすごいどもって
「ああ、ああああ、いや、あの、な、なかなかいい、なかなかだと、お、おもいますけど・・」
と返すと、すごく冷静にマーヤさんは「そうなんやー」と微笑んで返してくれました。
なんだ、ふつーな上に優しいじゃないですか!!
それだけで僕は一気にマーヤさんが好きになってしまいましたよ!
この時ばかりは普段無愛想で酷いな男なのに、たまに見せるその男の優しさにコロッといってしまう女性の気持がわかりましたね。
そういうことだったんだよ。
勉強になったなあ。


そんな無駄に精神力を使ってしまった僕はその後もマーヤさんと和気藹々とと会話を続け、
今日一番の山場を超え、リハをするためにステージに上がりました。
そして、昨日ですっかり味を占めたドラムセットを気持ちよく叩いていると、
気がつけば横にマーヤさんが・・・。
顔つきはすっかり変わって、さっきの優しい表情から一転、軽く眉間に皺をよせた
ステージ上の「狂犬マーヤ」バージョンになって僕を睨んでいます・・・。
「ヤバイ・・・やっぱ俺、調子に乗りすぎたのか!?」
そう思い、ドラムを叩くのをやめ、うつむき、そっとドラムスティックを置こうとしたら、
とても照れくさそうにマーヤさん一言。
「ドラムって楽しそうやね・・・お、俺も叩いていいかな?」


か、かわいいーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!
狂ってて、恐くて、優しくて、めっちゃかわいい!!!!
この人には一人の人の人格に混在しないはずのものが混在しちゃっている!
なんて魅力的な人なんだ!
最高だ!!
この人こそまさにロックスターにふさわしい!
そんなこんなでリハだというのにドラムマーヤさんに合わせて僕がギターを弾き、
エンドレスセッションがスタートしてしまいました。
楽しかったな〜!
この模様はセッチューのブログに写真がアップされていますのでチェックしてみてくださいね!


そんな感じで開場し、盛岡でのセッチューはスタート。
僕はトップでの演奏でした。
それでは曲順を。


1 イノチガケ
2 バイバイ若草荘
3 スーサイドジェネレーション
4 アローン・アゲイン
5 拝啓ロックンロール
6 さらばディズニーランド


4曲目「アローン・アゲイン」はギルバート・オサリバンのカヴァーで僕が訳詞を書いたモノ。
久しぶりに歌いました。
5曲目は新曲で、トーキングブルーススタイルの曲。この日の本番直前に出来た曲で、まだ未完成ではあったのですが、これからも演奏していきたい曲の一曲になりそうです。
最後の「ディズニーランド」では植木君も乱入。いい感じに終わる事が出来ました。


そして、この日も他の出演者のライブが素晴らしかった!BABY&CIDERのハッピーなライブ、
LINKの熱意のこもった演奏、植木君のショーマンシップ溢れる痛快なライブ、
そしてトリのキングブラザーズの狂犬っぷり!
すごい!!さっきまでの人とは別人だ!
マーヤさんだけではなく、Gのケイゾウさん、Drのシンジさんもすごい狂犬!!
これって褒め言葉なのかわからないけど、半端ない狂犬ですよ!キングブラザーズ
それにしてもすごい濃い面子だなーー。
コレを東京でやったらどうなっちゃうんだろう?
そんな事を思いながらも、盛岡の夜も最高!で終わったのでした。

この日は打ち上げなし。なので僕は名物のじゃじゃ麺を一人で食い、
ホテルに帰って余韻に浸りつつも明日に備え眠りにつきました。
盛岡、最高です!


この日のBGMブルース・スプリングスティーン「涙のサンダーロード」